2013年7月31日水曜日

エンドゲームの勉強が生きた

 久しぶりにchess.comでStandardの対局。時間は15m10s。 相手は大分格上だったが、58手目でPhilidor Positionに到達してドロー。 劣勢からドローにできたというのも満足だが、SilmanのEndgame本で学んだ知識が生きたのがうれしかった。


2013年7月30日火曜日

スタイルとオープニング

 オープニングは何を選ぶべきかというテーマについて、よく自分のスタイルにあったオープニングを選ぶべきと指摘される。しかし、自分のスタイルなんてものはずっとわからなかった。むしろ自分程度のレベルでスタイル云々いうのも変な気もしていた(卑下して言っているわけではなく客観的な強さとして)。例えばヴァイオリンで音程が定まっていない演奏者がスタイルなんて言っても失笑ものだろう。何の分野でもスタイルというのはある一定程度のレベルに達してからの話だろう、と。

 この考えは今でも変わらないが、少しずつ「好きな」タイプのゲームはわかってきた。自分がプレイして楽しいというより、観ていて面白いという意味あいが強いが。 観ていて面白いと感じるのはタクテクスがビシビシ決まるタクティカルなゲームではなく、一つ一つ有利を重ねていって最後に相手が瓦解するような論理に支配されたポジショナルなゲームだ。

 もちろんポジショナルなゲームといっても、タクティクスはもちろんあるだろうし、有利が重なった最後の段階は必ずと言っていいほどタクティクスに結びつく。ただ、前者のタイプのゲームにあまり惹かれないのは、後者のタイプに比べて偶然性を感じるからだ。 サクリファイスからの10手のコンビネーションを見ても、なぜか相手のミスに起因するという意味で偶然性を感じてしまう。 むしろ、じわじわと相手を劣位に追い詰め、相手が負けたことが必然であると感じさせるようなゲームに惹かれる。

 この点、元チャンピオンのアナトリー・カルポフが面白いことを言っている。

 -Let us say that a game may be continued in two ways: one of them is a beautiful tactical blow that gives rise to variations that don't yield to precise calculations; the other is clear positional pressure that leads to an endgame with microscopic chances of victory. I would choose the latter without thinking twice. If the opponent offers keen play I don't object; but in such cases I get less satisfaction, even if I win, than from a game conducted according to all the rules of strategy with its ruthless logic. -

 カルポフの場合はプレイする側としての立場であろうけれど、観ている側としては同じように感じる。

 最近見ていたゲームでは、以下のものが面白かった。 特に2つ目のアレヒンのゲームは、チェスのゲームを見ていて初めて感銘を受けた。





 こんなことを考えていると自分もあわよくばそういうポジショナルなプレイをしてみたいと思うようになった。 そう考えるとオープニングも搾られる。

 しばらくいろいろなオープニングを試した。 まず一番悩んだのが、1.d4に対する応手。1.d4からのオープニングはトランスポジションも非常に多く、またオープニングによっては多大な労力がかかるものもあるため、選択に困った。

 悩んだ結果、結局Queen's Gambit DeclinedのTartakowerにした。 Tartakowerは、chess.comで出会ったギリシャ人に勧められたオープニングだが、プレイしていて比較的心地良い。 何より、駒のセットアップが調和的で、一見詰まっているように見えてお互いの駒がそれぞれ意味をもってあるように感じられるのが良い。

 King's Indian, Grunfeld, Nimzo Indian, Slav, 等々も試したり、オープニング概要本(MCO)等でちょい読みしたりしたが、結局辞めた。 KIDは基本的にタクティカルなオープニングであるし、白はラインを絞れるのに対し、黒は非常に多くの白の手に対応しなければならないことを考えるとやめた。

 Grunfeldは、理論的に非常に複雑らしく、その時点で萎えた。 Nimzo-Indianはおそらく全オープニングの中で最も豊かなオープニングの1つなのだろうけれど、これまたラインの多さ、それに対する労力を考えるとやめた。 ただ、...e6つながりで、QGDとセットで使うこともできるのでゆくゆくは使ってみたい。 Slav、Semi-Slavは最後まで候補に残ったが、ラインによってはとんでもなく複雑で萎えた。先ほどのギリシャ人に初心者はSlavはやめておけと言われたのを今になって納得した。

 1.e4に対しては、これまたいろいろ試した。 長らくSicilian Kanを使っていたが、このオープニングはもっと上級者向けのオープニングなのではないかと思うようになった。 ポジショナルなオープニングではあるのだろうけれど、基本的に中央放置の詰まった形になるため、高度な戦略が必要になるオープニングだと思う(Understanding Chess Openingsにも同様のことが書いてあった)。 
 また、1..e5もしばらく試したが、白の手が多すぎるのでやめた。 また、ルイロペスのメインライン等一部を除き基本的にはタクティカルなプレイとなるため、この点もマイナス要因。

 そこで回りまわってフレンチを使うことに決めた(今日から)。 まず第一に、1...e6を使うという点でSicilian Kanとの共通点もあるという点が良い(Sicilian Kanでも、白がc3とした場合には、French Advance Varationになることがある。)。 レパートリーの構築として、フレンチ+Sicilian Kanというのも可能になる。
  第二に、基本的にアイデア・プラン重視のオープニングであるらしいこと。 少しフレンチのゲームを見ていたら、超がつくほどの複雑なラインもあるようだが、1つぐらいそういうラインを含むオープニングを勉強するのは良いかもしれない。

フレンチの複雑なゲーム例。

 白については、1.e4から.1.d4に変えた。 とはいえ、膨大なレパートリーの中から全く道標がないのもあれなので、John WatsonのA Strategic Opening Repertoire for Whiteを指標にしようかと思う。 ラインラインライン・・・ばかりの本なので、この本を全部読むなんてことはしないし無意味だろう。ただ、一応この本のコンセプトとしては、戦略的・ポジショナルなオープニングを提供するということにあるので、ざっくりとしたメインラインとアイデア・プランぐらいは参考にしようと思う。

2013年7月29日月曜日

Mastering ... シリーズ

 最近はあまりチェスをやっていないが、CHESSBASEでたまに本を読んでいる。

 EVERYMAN CHESSがCHESSBASE関連のソフトウェアで読み込み可能なEbookを販売している(CHESSBASEのソフトを持っていなくても、無料の読み込みソフトもEVERYMAN CHESSでダウンロード提供している)。棋譜と一緒にコメントが並ぶというスタイルで読める。 だから、CHESSBASEでキーボードでカチカチやるだけで本が読める。 何が便利かといえば、いちいち棋譜並べをしなくて済むという点につきる。

こんな感じになる↓(クリックで拡大)




 そんなEbookをだいぶ前にいくつかダウンロード購入していたが、その中で思いの外良い本があった。Johan HellstenのMastering Opening StrategyMastering Chess Strategyという本だ。前者はオープニングにおけるストラテジー(イニシアティブ、展開等)の本、後者はミドルゲームにおけるストラテジーを紹介。

 この両者の本が何が良いかというと、その例の豊富さ。例えば、Mastering Chess Strategyに至っては600ゲーム近く紹介している。 例えば、「チェス戦略大全」としても翻訳されている、PachmanのComplete Chess Strategyの第一巻でも130ゲーム程度。 とにかく多い。 なぜそれが可能かといえば、全ゲームを紹介するのではなく、重要な局面の図面を提示して軽くコメントしていくというスタイルだからだ。これがパソコンでカチカチ見るという見方にはちょうど当てはまる。

長々した説明とかどうでもいいから早く実戦例を見たいという人にはオススメできると思う。 また、選ばれているゲームも面白く、コメントもわかりやすい。 そんなMasteringシリーズだが、三部作目としてエンドゲームのMastering Endgame Strategyも近日発売されるようだ。楽しみ楽しみ。

2013年7月26日金曜日

How to calculate Chess Tactics読了

 Valeri BeimのHow to calculate chess tactics読了。読了といっても途中から例をかなりはしょった。 総論的な感想としては自分よりもっと上級者の人を対象に書かれた本だと感じた。何より例が非常に難しいものが多い。

 この本を読む人の多くが、読みについての手法やタクティクスについての思考過程を学びたいと考えているだろう。ということで、読んだことの整理を兼ねてほぼ要約の感想を書く。

 "Tactics"の章と"Calculation"の二章からなっている。

1.一章 Tactics
 Tacticsの章は、最初にTacticsとはなんぞやという定義論が長々と述べられる。TacticsとCombinationの違い、Combinationにおいてサクリファイスは不可欠の要素か、等々、「へー」となることが書いてある。しかし、果たして実戦上に役立つ知識かどうかはわからない。むしろ本題は後半の「Logical Analysis」の部分。

 タクティクスにおいて難しいのはタクティクスの存在に気付くことだ。では、どのようにして見つけるべきかということに対するBeimの回答がこれだ。 Logical Analysisとは要するに、具体的な手を検討する前に、ポジションを構成している要素を精緻に分析するという手法だ。

 具体的には、①駒数の確認②彼我のポーンストラクチャーにおける弱点の確認③最後に動的な要素(展開の具合、イニシアチブの有無等)の確認という手順を辿るべきだとする。

 その上で、タクティクス(特に駒得を伴うタクティクス、メイト)が発生するためには戦略的な優位があることが前提条件にあるということを強調する。例えば、ビショップ1つがキングサイドに向いていてもタクティクスが成功する可能性は低い、しかし、クイーンとビショップ2つがキングサイドに向いていたらタクティクスが発生する可能性は高いだろう。 このように、タクティクスが発生するのは前提条件が整っている必要がある。

 ・・・なんてことが書いてあるが、これって既に何百回も言われていることである。特に、目新しいことではない。

 Beimの言うLogical Analysisの重要性はわかる。闇雲に手を検討する前にポジションを精緻に分析すべきことの重要性は最近少しずつわかってきた気がする。しかし、上記①②③では、あまりに抽象的かつ一般的のように思われる。 もちろん、実戦ではタクティクスがあるかどうかわからない状況であるために、上記①②③のような思考過程の方がより実戦的であろうとは思う。しかし、タクティクスの本について書いてある以上、タクティクスの発生条件に特化した分析手法についてもっと掘り下げて書くべきだ。この点は不十分に感じた。

 この点については、Tune Your Chess AntennaやUnderstanding Chess Tacticsの方がはるかに優れている。 両者ともBeimのいうLogical Analysisについて述べた本だということができる。いずれの本も、タクティクスの発生条件は何かというテーマで書かれた本だが、もっと具体的に書かれている。

2.二章 Calculation
 Calculationは日本語だったら「読み」なのかな。とにかく、二章は読みについての章。

 Alexander Kotovが"Think Like a Grandmaster"において提唱した読みについての手順を軸として書かれた章。このKotovの本は読み関連の本だと必ずと言っても登場する。 BeimはKotovの手順は不十分だと主張する。

 そもそもKotovが主張した手順というのは以下のようなものだ。

1.読みを始める前に、ありうる全ての手をリストアップしなけれなばならない(候補手 candidate moves)。これによって見過ごしが防げる。

2. 1を終えたら読みを始める。どの手から検討し始めるかについては、プレイヤーの性格やポジションの性質に拠る。最も難しいラインから検討する人もいるかもしれないし、逆の人もいるだろう。

3.上記によって検討されたラインは樹形図のように示される。

4.読みをなすにあたって重要なルールとして、一度検討したラインを再度検討してはならない。

 というもの。 そして第二章では、この手順では不十分だとして以下のように問題を指摘して修正する。

 第一点については、Kotovは候補手をどのように探すべきか述べていないと批判。そこで、第一点は、「候補手とは、当該ポジションにおいて論理的に見える手やもっともらしく見える手を意味する」と修正すべきとする。とはいえ、「もっともらしい」という点について、経験や直感によるところが大きいとも別の箇所で述べている・・・

 第二点については、候補手の1つが複雑過ぎる場合、そのラインはひとまず置いておいて別の簡単なラインから検討すべき。簡単なラインが成立しないときに限り、難しいラインを検討すべきとする。

 第三点については、そもそもラインを樹形図のように考えることに実益があるのか不明であるとして、検討したラインを頭の中で樹形図のように整理することは無意味であるとする。

 第四点については、各ラインについては原則として一回限りの検討を行うべき、しかし、これはあくまでも手を比較検討している段階で、実際に手を打つ前には読みに漏れがないか最終チェックすべき。また、次に述べるresulting movesの考えを利用する場合には、再度同じラインを検討することはやむを得ないとする。

 第四点に関連して、”resulting move“という概念を紹介している。(なお、この点についてあたかもBeimが考えたかのように書かれているが、Improve your chess now!でTisdallが既にこの考えを紹介していたような気がする…)。resulting movesというのは、ある候補手Aを検討してその手が成立しないことを確認した場合、成立しない理由からアイデアを得て別の候補手Bで利用するというもの。

わかりにくいだろうから、例を以下に示す。(Tune your Chess Antennaからの引用例)


 また、読む際に一気に最後まで読むのではなく、段階ごとにポジションの評価を加える方法、読み終わった最終局面のポジションの局面評価の重要性、いつ読みをやめるべきか等々の興味深いテーマが扱ってある。特に読みと局面評価は密接不可分であり、いくら長いラインが読めても最終的な局面の評価を加えることができなかったら意味がないということはなるほどと思った。

3.終わりに
 タクティクスの章については目新しいところがなかったのは事実だがタクティクスを検討する前の局面評価の重要性の点については意識づけられた。読みについての章は、読みについての1つの手順が示されているという点では参考になった。確かに、Kotovの手順は理想的で実戦的ではない。ただ、Beimの修正も特段変わったものというものでもなく常識的なものではあるが。

 結論としては、この本を読むよりも、Improve your chess now! やTune your chess Antenna、Understanding Chess Tacticsを読む方が実益はあると思う。

 ということで面倒な読書も終わったので、今度はタクティクスについて考えるところ、何をしたらタクティクスが上達するか等の点について自分なりの考えを書いてみたいと思う。

2013年7月21日日曜日

playok

 最近playokでもプレイし始めるようになった。長めの時間設定でもすぐに相手が見つかるのが良い。また、最近chess.comで負け続けで不快ボルテージが高まっていたため、たまには違うところでプレイするという意味も。
 
 そんな中、つい先ほどのゲームでだいぶ前のゲームの見直しが活きた。クイーンズ・ギャンビット・ディクラインドを使っていると、たまにこのゲームのようにc5と指してくるプレーヤーがいる。対応を知らないと、そのまま窮屈な形を強いられることになるが、前に同じ手をくらったことがあったので対応を覚えていた(実際は、10手目のミスにより危うく優位が帳消しになりかけたが)。

(popuriiというのが自分)

 もう一個、だいぶレーティングが下の相手だったが、良い勝ち方ができた。攻撃を左右に振り分ける戦い方ができてよかった。それにしても、playokってchess.comとレーティングの価値が全然違う。この相手にしてもchess.comだったら1400-1600ぐらいの印象を受けた。






 タクティクスについて考えてみようということで、Valeri BeimのHow to Calculate Chess Tacticsという本を読んでいる。 しかし、ハイパーつまらん。冗長で回りくどく、無駄に例が多く、読んでいてイライラしてくる。似非アカデミック臭が半端ない。既に半分ぐらい読んだので、一応最後まで読むつもりだが、苦痛。 あといくつか気になるものを読んで、タクティクスについて考えるところを書いてみたい。 特に、タクティクスを検討する前の盤面分析、読みのやり方、候補手等のテーマについて。

2013年7月17日水曜日

フィリドールの音楽

 チェスでフィリドール(Francois-Andre Danican Philidor)というと、フィリドール・ディフェンス(1.e4 e5 2.Nf3 d6)が思い浮かぶ。チェスの歴史を少し調べればすぐに出てくる人で、「ポーンはチェスの魂」という言葉で有名。ベント・ラールセンが、最も時代を先んじていたという意味では、最も偉大なチェスプレイヤーだったと評価している。ただし、フィリドールの考えを理解する同時代人はおらず、彼の考えが理解されるのはだいぶ後になる云々云々、そんな話をよく聞く。

 そんなフィリドールだが、フィリドールは音楽家としても有名だった。バッハ一族ではないが、フィリドール・ファミリーは音楽家の家系だった。これらのことはWikipediaにも書いてある。

 以前からどんな音楽を書いていたのかは気になっていた。今日思い立って、NML(Naxos Music Library)でCDを見つけたのでいくつか聴いた(CD) 。聴いたのは「転調の技法(The Art of Modulation)」。ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、オーボエ、チェンバロの四重奏曲。

Youtubeに1番の第一楽章だけあった(CDには6番まで収録されている)。





 この1番の第一楽章にしてもなかなかよいではないか。バロック時代のノリの良い対位法音楽は大好物なので、1;16~からの緊迫感のある掛け合いなんて大好き。 一段落してからの(若干陳腐な)泣かせるメロディー(2:37~)など非常にヘンデルっぽい。
 他の2~6番通して、全体的に健康的、快活でわかりやすい。ひねくれた曲はない。また、メロディーメーカーとしての才能も感じる。口ずさみたくなるような心地良い旋律が随所に現れる。そして何よりリズム感が良く、聴いていると自然に身体が揺れる。他の音楽も聴いてみたくなった。

 惜しむらくは鍵盤楽曲を残していないことか。おそらくいくつかは鍵盤作品も残しているのだろうが、少なくともIMSLPでは見つからなかった。ネット上の楽譜店でも扱っていない。 知っている人がいたら教えて下さい。

2013年7月11日木曜日

タクティクス・・・



 中盤まで押していたが、タクティクスに気付かなかった。そして、31手目で霊長類レベルのブランダーをしてそのまま他界した。

 19手目と21手目でタクティクスの見逃し。19手目はまだしも、21手目は難しくないタクティクスだったので気付くべきだった。

 まだまだ微妙なポジショナルプレイやギスギスしたエンドゲームで勝負がつくレベルではなく、しょぼいタクティクスやまぬけなブランダーで勝負がつくレベルにいる。そう考えると、タクティクスを強化しないといけない。何より、今のままでは今より上のレベルにはいけないだろう。

 chess.comのTactics Trainerは、大体1750~1850ぐらいでうろついている。最高が1978。対局相手のプロフィールを見ていると、同じぐらいのレーティングの人は大体2000ぐらいある。人によっては2300とか2400という人もいる。

 なので、これからタクティクス力を上げていきたいと思う。 とりあえずの目標はChess.comのTactics Trainerで2000を超すこと。次は2200。 できれば、年内に2200を越したい。 これからいろいろ試していきたいと思っているので、その度に途中経過を報告したいと思う。

2013年7月10日水曜日

Simple Chess / Silmanエンドゲーム本

 無駄に本を持っている割にまともに読んだ本がほとんどないという状況だが、少しずつちゃんと読むことにし始めた。

1.Simple Chess
 まずは、Michael SteanのSimple Chess。 一章あたり20~30ページ×7章と短い本なのですぐに読み終えた。CHESSBASEに自分の要約コメント等を打ち込みながらだったが、とりあえず早く読んで回すのが良いかと考え、大体1日90分ぐらいで一章を読み進めるハイペースで読んだ。

 評判通りの良い本だった。弱いポーン(backward, isolated, doubled pawn)が・・・とか、バッド・ビショップが・・・とか、スペース・アドバンテージが・・・とか知っていたが、もう少し理解が深まった。

 当たり前の話といえば当たり前の話だが、マイナーピースの優劣、ポーンストラクチャーの優劣等はそれ自体が目的なのではない。 あくまで、中間目的としては駒得、そして最後にメイトするために存在する。このことに改めて気付かされた。

 仮に、グッド・ビショップをもっていたり、スペースアドバンテージを有していたとしても、駒得等の具体的結果につながらなかったら意味がない。 それらの要素をどのようにして中間目標である駒得そして最終的なメイトにつなげるのかという点が強調されており、目から鱗。

 また、ポーンとピースの関係についても勉強になった。 弱いポーンをもってしまうと、ピースはそれを守るために活動範囲が著しく狭められてしまう。そうすると、相対的にピースの価値が劣ることになり、最終的には相手の攻撃に耐え切れなくなる。 ポーンが弱いということは、ポーンそのものの価値だけではなく、ピースの価値も下げる。ポーンそれ自体で考えてはダメ。これまた目から鱗。

 とはいえ、こういう知識は使えなかったら何の意味もない。特に、ハイペースで読んだのでまともに頭に残っていない。 なので繰り返して脊髄に叩きこもうと思う。データベースに既にぶちこんであるので、後は回すのみ。

2.Silmanのエンドゲーム本
 Simple Chessを読んだ後に、ついにエンドゲームの勉強を始めてしまった。エンドゲームを勉強することは重要と知りつつも、その面白くなさそう臭からずっと敬遠していた。パンドルフィーニ本も読んだりしたが、その苦行林の修行のごときつまらなさに半分ぐらいで放り出してしまった。

 エンドゲーム本として何を使うかについては、いろいろ悩んだが、Jeremy SilmanのSilman's Complete Endgame Courseにした。最大の理由は、レーティングクラス別に順に進めるようになっていること。 例えば、パンドルフィーニ本の場合だと、いきなり地獄のB+N+K vs. Kチェックメイトなんて出してくるが、そんなことはない。(そもそもこの本は、B+N+K vs. Kは「学ぶ必要がない」として紹介されていない。)

 難易度順というだけでなく、「実戦に出そうな順」で並べてくれているのも良い。勉強したらすぐに使えそうな知識を得ることができる。さらに、パンドルフィーニ本のように、テクニカル・ポジション(勝ち負けがはっきり決まっている理論的なポジション)だけでなく、実戦的なテクニックも教えてくれる。

  例えば、クラスD(レーティング1200-1399)で、Fox in the Chicken Coupなんていうイカガワシイ命名の手法を紹介している。 ボードの右と左にポーンがあったら、左のポーンをプロモーションさせるように見せかけそちらに相手のキングの注意を引きつつ、相手のキングが左のポーンをプロモーションを止めようとしている隙に、右のポーンをプロモーションさせましょう、というもの。 知っていたら使える。

 等々、良いことづくめのようだが、欠点としては冗長なことか。 どうでもいい言葉が多い。ユーモアと取れるところもあるが、もっと圧縮して短く書いて欲しい。好みの分かれそうな点。ただ、時たま笑えるところもある。

RULE : もし相手のポーンがナイトかルークポーンの場合で、自分のキングが相手のポーンの前にあるときは、たとえロボトミー手術の傷が完治してなくても簡単にドローにできる。

というのには笑ってしまった。

 また、クラス別ごとに学ぶという体裁のため、網羅的な知識が得られるわけではないということも欠点の1つかもしれない。しかし、これは、シルマン自身が長年のコーチ経験からこの程度のレーティングの奴だったらこれぐらいでいいだろうという選定のもとで行なっているので、逆に利点といえるかもしれないが。

 そんなシルマン本だが、とりあえずBクラス(レーティング1600~1799)まで読み終えた。Bクラスでも既に自分のレーティングより高いであろうと思われるが、まだなんとか理解できた。 この本も、一日90分程度で3日ぐらいで一気に読んだ。 以前にCクラスまで読んでいたので、ほぼBがメインだったが。 CからBまでは全部CHESSBASEのデータベースにぶちこんだので、後はひたすら回すのみ。

2013年7月8日月曜日

快勝+ボッコボコ

 久しぶりにchess.comで対局。1つは快勝、もうひとつはボッコボコにされた。同じぐらいのレーティングの相手になすすべなくやられるということはそうそうないが、今回負けたゲームでは、何もできないまま文字とおりなすすべなくやられた。初めてあたったオープニングだったということもあるが、ミドルゲームで完封負け。11...Ng5!から一気に交換を迫られ、白はバッドビショップが残るのみに。続いて、c4にナイトでアウトポストをとられるも、白マスのため黒ビショップでは対抗できず、ナイト無双で粉砕された。途中でe3-e4でビショップを解放すべきだったが...f5によってその機会も奪われ(ついでにこの手によって、ケチなトラップも潰された)、後は思うままに蹂躙された。グッドナイトvsバッドビショップの典型例みたいなゲームになってしまった。 

両方とも注釈付きで棋譜を載せようかと思ったが、疲れたので勝った方だけ注釈付き。


勝った方

 
負けた方


不快なホイッスルを消去

 かなりどうでもいい話ですが・・・

 FritzやChessbaseを使っているとき、イリーガル・ムーブ(例えば、黒番なのに白駒を動かす等)の時になる不快な無駄に大きいホイッスル音が鬱陶しくてかなわなかった。なぜかこの音だけが設定画面で消音できないというワケワカラン設定。しかし根本的な解決法を発見。 

 プログラムがインストールされているフォルダのSounds→Boardの中にあるillegal.wavを無音のwavファイルに置換する。これで、あの耳障りな音とおさらば

例:
C:\Program Files\(chessbase, fritz等)\Sounds\Board

2013年7月7日日曜日

これは面白い -ポーンストラクチャーによるポジション検索-

 前回の記事で、プレイしている途中にプランが立てられない等何をしていいかわからない状況になったとき、似たようなポーンストラクチャーでのマスタ-のゲームの参照する方法があるということを書いた。(http://chess4real.com/a-hardcore-guide-to-analyze-your-chess-games/ このページに書かれていた方法。)

 早速、今日黒番でルイ・ロペスをやっていて、マッタクワケガワカラン状態になったので、それに従ってやってみた。やり方としては、CHESSBASEを開いて、Megadetabaseのゲーム検索(Fileter)で、ワケガワカラン状態だったころのポーンストラクチャーでポジション検索(レーティング双方2400以上の指定)。いくつかマスターのゲームが出た。

 確かに、これは非常に良い。非常に。 明確に「こうやってプレイする」ということが明らかになったとまではいかないが、こういうやり方もあるのかと非常に参考になった。これからはこれを取り入れてみよう。

 ちなみに、よくわからん状態だったポジションはこんなような形↓ こういうポーンの形。 d3のルイ・ロペスから到達。





ゲーム例1。ルイ・ロペスからではなく、シシリアンからの変化。ギッチギチにロックされたポーンの壁を突破して見事に勝利。g6があるから、f5もいけるよねと納得。このゲームは注釈付きだったので、結構勉強になった(Megadetabaseには、注釈付きゲームも含まれている。)




ゲーム例2。 変にポーンをプッシュして失敗する例が続いたので、こういう複雑な形のときにポーンを進めるべきか進めるべきではないかで悩むことが多かった。ポーンプッシュ恐怖症に陥っていたが、ポーンを進めてセンターを開けてもやりやすいポジションができるようだ。最後は見事にメイトスレットからのフィニッシュ。




ゲーム例3。こんなルイ・ロペスの変化があるのかと驚いた例。ナイト何回動かすのかと思うほど、ナイトの大旅行。ちなみにこのバリエーションの黒の勝率は非常に高い。



ゲーム例4。f5からポーン交換、gファイルを開いてそこから怒涛のラッシュ。ナイジェル・ショートの超タクティカルなゲーム。

2013年7月5日金曜日

チェスが上手くなるには・・・5.自分のゲームの見直し

5回目。今回はゲームの見直しについて。

第五回目 チェスが上手くなるには・・・5.自分のゲームの見直し

1.ゲームの見直しの意義
 初級者段階で最も上達につながるのはタクティクスだと思うが、ある程度タクティクスもできるようになった次の段階(そしておそらく最後まで)で最も上達に役立つのは自分のゲームをしっかりと検討することだと思われる。

 ゴルフの本をいくら読んでもゴルフが劇的に上手くならないように、結局は実践→修正というステップを踏まない限り、レベルアップは望めない。したがって、いくら本を読んだところで、自分のミスを明らかにしてそれを修正するという作業がなければ、上達は望めない。 そのためにゲームの見直しが必須だ。

 特に初級者~中級者段階では、穴ぼこだらけなので、いかにしてそれらの穴を埋めるかということがよりいっそう重要となる。

2.具体的な方法
 具体的な方法論というのは、人によってまちまちだが、一般的に言われているような方法としては以下のようなものだろうか。

①ゲーム直後に、ゲーム中の思考過程で気になったものを書きだす。
②ブランダー、タクティクスに気づかなかったポイントを確定する。これはソフトですぐにチェック可能。
③ゲーム中での勝敗の別れ目のポジション、決定的だと思われるポジション(Critical Position)を確定する。
④ ①、②、③それぞれにつきソフトの助けを借りて検討する。
⑤④の検討の結果明らかになった問題点を一般化して要約する。
⑥オープニングのラインを検討。

(他にも、自分がプランが立てられなかったポジションにつき、データベースで似たポジションのゲームを探し検討するという興味深い方法を提案しているところもあった。 
http://chess4real.com/a-hardcore-guide-to-analyze-your-chess-games/

 一番無意味な検討というのは、「ここで間違えた」と確認だけして終わるというもの。これでは次に何も残らない。「なぜ間違えたのか」「それはどのようにすれば避けられ、そのためには何をすれば良いのか」というところまで明らかにすることが望ましい。 そうすれば、次に似た状況にあるときにミスを避けることができる可能性が上がる。 問題の原因の明確化→対策。これが重要。

3.例
 ゲーム中、誤った思考過程を辿ってしまうことは非常に多い。例えば、最近こんな例があった。


 
 上記ポジションで11...f6としてしまったが、ソフトの最善手では、11...Bxf5が示された。 なぜ、このポジションで11...Bxf5としなかったかといえば、e5のポーンがナイトとクイーンにアタックされていて浮いていると「勘違い」(誤った思考過程)してしまったからだ。(そして、クイーンと同じファイルにキングが並ぶのが避けたかった。)

 しかし、分岐に書かれているように、白はここで12.Nxe5とすることはできない。なぜなら、12...Nd4!があるからだ(13.Nc6+以外のバリエーションだと、ナイトがクイーンにピンされてナイトが落ちる、又は、Nxc2のフォーク)。

 これは結局、「e5が浮いているから、12...Bxf5はできない」という短絡的な思考に基いている。一般に、強制手順(forcing moves)はチェック・キャプチャー・スレット等が失くなる状態、すなわち静止状態(Quiescence)に落ち着くまで検討すべきとされている。

 しかし、上記のような誤った思考を辿ってしまったため、12...Nd4!という、クイーンをアタックする明らかな強制手を見逃してしまっている。 本来ならば、12...Nd4からのありうる強制手順も静止状態になるまで読むべきであった。(一般にこのようなミスは、Quiescence Errorという)

 したがって、上記ミスからは、「強制手順を含む手は、初見の印象に惑わされず、出来る限り静的状態に落ち着くまで読む」などというような教訓が得られるだろう。

 この例が果たして適当かはわからないが、いずれにせよ、「何が誤っているのか」ということを突き詰める作業こそが最も重要だ。原因が明らかになりさえすれば、対策を練ることができる。逆に、原因が明らかとならなかったら、その点については次回も間違う可能性が非常に高い。 そして、多くのミスが誤った思考過程に基くものであるから、誤った思考過程を矯正するということを意識すべきだろう。

 この作業を繰り返すうちに、「必ず」自分がいつも繰り返しているミスに気付くはずだ。後はそれを修正する努力をすれば良い。

4.その他

 できれば、自分のゲームは保存しておくことが望ましい。 私の場合は、CHESSBASEとFRITZを使っている。FRITZで具体的にゲーム検討して、CHESSBASEで細かい点について付加する等。 データベースがあること、検索が容易なこと、注釈のオプションが非常に豊富なこと、オープニング・レパートリーとのリンクが簡単なこと等々から、CHESSBASEが一番使いやすいと思う。

5.参考にしたページ
・10 Tips for analyzing your Chess games
http://roman-chess.blogspot.com.br/2009/08/10-tips-for-analysing-your-chess-games.html

・A hardcore guide to analyze your chess games in 12 steps
http://chess4real.com/a-hardcore-guide-to-analyze-your-chess-games/

・How to Analyze Chess Games
http://www.chess.com/article/view/how-to-analyze-chess-games

・Game Analysis for Improvement in Play
http://pathtochessmastery.blogspot.jp/2011/08/game-analysis-for-improvement-in-play.html

2013年7月2日火曜日

策士策におぼれる

 浮いているポーンに飛びついてタクティクスを決められる、クイーンでナイトをとったらディスカバードアタックでクイーンが取られた等々、トラップを仕掛けられてそれにはまってしまうことは多々ある。

 しかしその逆もある。自分でトラップを仕掛けて自爆する。見事な例を発見。